大腸がんの検査

大腸がんは、早期に発見されればほぼ100%近く完治しますが、一般的には自覚症状がないため、無症状の時期に発見することが重要となります。

大腸がんの検査の代表的なものは、便潜血反応検査で、食事制限なく簡単に受けられる検査です。この大腸がんの検査だけでは大腸がんを確定することはできませんが、大腸がんの精密検査が必要な人を拾いあげる最も有効な検査法です。

大腸がんの確定診断のためには、注腸X線と大腸内視鏡が必須です。どちらの検査も下剤で便を全部排出しないと精度の高い検査はできません。また、レントゲンや内視鏡ができる状態でない腸閉塞状態でも、CT検査で腫瘍の状態を把握することができます。

術前検査で大事なことは、がんがある周囲のリンパがはれていないかを検査すること、また肝や肺に転移していないかを検査することです。これらはCT,MRI,超音波などを用いて検査します。

数々のガン患者を完治させてきた食事法

便潜血反応検査

自覚症状がない早期にがんを発見できる検査法として便潜血反応検査があります。

大便を検査してもらうだけなので絶食などがなく負担なく行なえますが、痔や他の病気にも反応してしまいますし、逆に大腸がんからの出血のない日にたまたま出した便に反応がなく発見が遅れるなど精度自体は高くないため、集団検査向けといえます。

はじめから大腸がんの疑いが高い場合や心配な人は精密検査を受けたほうが良いでしょう。

直腸指診・肛門直腸鏡検査

自分で排便に血を発見したり、便潜血検査で陽性ならば直腸指診と肛門直腸鏡検査、直腸内視鏡検査が行なわれます。

直腸がんの約80%は直腸指診によって見つかるといわれています。

直腸指診はゴム手袋をして麻酔ゼリーをつけ、肛門から10センチ程度までの直腸内を触診するものです。肛門直腸鏡検査は長さ約10センチの金属筒状の肛門鏡を挿入し、直腸内を直接観察するものです。肛門、直腸からS状結腸の下部までの約30~40センチくらいまでの範囲を検査することができます。

この検査のときは腸をきれいにしてから行なうため座薬や浣腸等で排便しておきます。

注腸造影検査

バリウムと空気による二重造影法によって,直腸・大腸などの消化管粘膜の病変をX線写真として,撮影します。

これは、肛門からバリウムを入れ、さらに空気を追加注入して腸をふくらませ、粘膜のひだを伸ばし、バリウムをすみずみに行き渡るようにしてからレントゲン撮影をする方法です。こうして肛門、直腸、結腸、盲腸、虫垂、さらには小腸の末端部の一部までレントゲンに撮って、その形の変化をみながら、大腸ポリープ、ガンをはじめ、大腸炎、憩室症などの診断をおこないます。

そのため前準備として大腸の中をからっぽにした状態で,検査をすることが最も重要です。

大腸内視鏡検査

大腸内視鏡検査は内視鏡を(ファイバースコープや先端にCCD(固体撮影素子)を搭載した電子スコープを用いて)大腸内に浸入させて、より近くで腸の様子を観察することができるので大腸がんやポリープの早期発見には精度の高い検査方法です。

しかも病巣を発見した時にその一部を採取して体外で検査できより詳しい検査ができるのも特徴です。

しかしこの検査は熟練した技術が必要で、大腸は胃や十二指腸に比べ複雑で長さがあり折れ曲がったり、ねじれていたりするので誰でもできる検査ではありません。実際にこの検査で苦痛を訴える患者さんも多く、内視鏡によって大腸内壁を傷つけ出血することもあるようです。

CT検査・MRI検査・超音波検査

CT検査は身体にあらゆる角度からX線照射し、得られた情報をコンピューターで解析するものです。造影剤を使う場合と使わない場合がありますが、造影剤を用いる方法では病変がより鮮明に描き出され、検査したい臓器やその周辺をミリ単位の断層写真として観察できます。

CT検査の結果はX線検査や内視鏡検査の結果と総合的に判断することに役立っています。また、がん治療(化学療法や放射線療法など)の効果の把握などにも用いられています。 MRI検査は磁気による核磁気共鳴現象を利用して画像に描き出すものです。患者さんが被爆しないこと、いろいろな断層面が撮影できるというメリットがありますが、血液の流れや呼吸、消化管の動きがノイズとなって影響し、画質が劣化する欠点もあります。

超音波検査は、手術前、手術後(再発)、がんの壁外への進展や肝臓への転移などの判定に役立つ検査法です。

CT検査やMRI検査、超音波検査の結果はX線検査や内視鏡検査の結果と複合して、総合的な診断を行うことができます。また、がん治療(化学療法や放射線療法など)中に効果がどのくらいでているか、などの判断要素も得られ、その後の治療方針を選択するうえでの重要な情報をえられます。

大腸がんにおいては、腹部の超音波検査、胸部・腹部のCT検査、あるいはMRI検査で肺転移、肝臓転移、がん性腹膜炎、リンパ節転移、卵巣転移、骨転移などについて調べます。

大腸がんでは特に肝臓に転移する確率が高いので、治療後も注意深く経過観察していきます。

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