食道がんとは?
食道がんとは食道の組織内に悪性細胞が認められる病気です。
日本人の食道がんは、約半数が胸の中の食道の真ん中から、次に1/4が食道の下1/3に発生します。食道がんは食道の内面をおおっている粘膜の表面にある上皮から発生します。
食道の上皮は扁平上皮でできているので、食道がんの90%以上が扁平上皮癌です。食道がんは全がんの4%前後を占めております。
50歳代以降は加齢とともに急激に増加し、ピ-クは60歳代です。男女比は5:1で男性に多いがんです。経年的にみると男性では横ばいであるのに対し、女性では年々減少しております。
胃癌、大腸癌を含む消化管の癌の中では予後は極めて悪いのが食道がんです。これはリンパ節転移が多いことと、食道は他の消化器臓器と異なり漿膜(外膜)を有していないため、比較的周囲に浸潤しやすいことが上げられます。
食道がんの統計
食道は、口と胃をつなぐ約25cmの細長い管のような臓器で、頸部食道[けいぶしよくどう]、胸部食道、腹部食道に分けられます。
統計では、胸部食道がんが80%前後と大部分を占め、腹部食道がんが5%前後、頸部食道がん[けいぶしよくどうがん]が5%前後です。
また2つ以上ある多発がんも5%前後です。(あくまでも目安です)
死亡率は、ともに40歳代後半以降増加し始め、特に男性は女性に比べて急激に増加します。罹患率、死亡率ともに男性のほうが高く女性の約5倍近くです。
国際的には、日本人は他の東アジアの国の人や、アメリカの日本人移民に比べて高い傾向があります。
近年著しく食道がんの根治率は上がってきていますが、それはあくまで“早期発見”の場合であり他のガンでもそうですが進行した食道がんはいまだに予後は良くありません。やはり定期的な検診検査が食道がん対策の第一歩であるといえます。
食道がんの自覚症状
どんながんでも大事なことは早期発見することが有効ですが、それにはやはり定期健診をしっかりすることが大事になります。では 自分で感覚的に気をつける食道がんの自覚症状とはどんなものでしょうか?
初期の食道がんはほとんど自覚症状はないのですが、次第にあらわれてくるのは継続的な違和感です。具体的には食べ物を 飲みこんだときに生ずるチクチクした感じや、しみるような感覚です。
普段でも風邪や炎症があるときは同様な感覚はある場合も経験あると思いますが食道がんの場合継続的な慢性的な痛みと 違和感が特徴的です。
しかし時には食道がんが進行すると同時に違和感がなくなりそのまま重度ながんになることもあります。 そうなると食事の時にのどにつまるようなつっかえるような感じが起こりそれがより強く感じるようになります。
やがてそれがストレスになって食欲が落ちて体重が減少し始めます。
食道がんとメラノーマ
メラノーマと聞くと皮膚にできる病気が思い浮かぶが、食道内膜に黒色腫としてできる場合がある。
発生頻度は決して高くはないが、非常に悪性頻度が高くまた予後が悪い。
食道メラノーマが発見されるのは胃カメラなどの検診検査の時で、所見があればすぐに組織検査を行います。
悪性でなければ個人にもよりますが半年程度で定期的に検査してその後問題がなければ頻度は下げても良いですが、心配ならばされに定期低な専門の検査を受けるのも選択肢になります。
ですが発見されれば注意が必要ですし基本的にはあまり放置しないでなるべく短いスパンでの定期健診が大事になってきます。
一年も放置すれば相当進行しますし悪性の腫瘍に変化すれば予後は悪くなります。
もし悪性が認められれば外科手術と転移がなくてもとりあえずは抗がん治療を勧められると思います。
ですが副作用や自分の免疫力に自信がある方は定期健診をしっかりとして経過を観察する選択もあります。
いずれにしても癌化した場合の予後はよくないので転移がなかったり発見段階で浸潤が浅い場合は珍しいケースだと言えます。
食道がんとミニトラック
食道がんの手術の際に痰を自分で吐き出すことができなくなるのでミニトラックを装着します。
これは患者さんには不評でかなり違和感があるといわれています。
ですがこれをやらないと痰がとれないので肺炎などにかかってしまい命にかかわる事態にもなりかねます。
装着期間は個人差もありますが、術後数週間程度です。
医療機関の中では負担になるミニトラックをなるべく使用しないで患者さん自身で痰を処理できるように痛み止めなどを使用してできる回数を増やしたりする努力もしているようです。
ですがある程度の年齢とか厳しい場合はやはり通常の方法となる確立は高いと言えます。