大腸がんと抗がん剤

大腸がんに対して有効かつ現時点で国内にて承認されている抗がん剤は、フルオロウラシル(5-FU)+ロイコボリン(国内ではアイソボリン)、イリノテカン(CPT-11)、オキサリプラチン、UFT/LV、UFT、S-1などです。

5-FU(5-フルオロウラシル)+ロイコボリン

p>5-FUは数十年前より広く使われている薬で、胃がんや食道がんにも用いられています。大腸がんに対しては、ロイコボリンという薬と併用されることが多いですが、最近はそれに加えて後述するイリノテカンやオキサリプラチンとも併用されるケースも多くなってきています。

使い方は、週に1回点滴する方法や、2週間に1回持続点滴を行う方法、週に1回肝動脈へ点滴する方法など、いろいろな治療法に組み込まれて使用されています。

副作用は比較的軽微ですが、下痢や口内炎などの粘膜障害や、白血球が減ったりすること、手指の皮膚が黒くなること、食欲の低下などに注意する必要があります。

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イリノテカン

10年ほど前から用いられ、胃がんや肺がんでも広く使用されている薬です。大腸がんに対しては、単独あるいは、5-FU/ロイコボリンとの併用で用いられます。併用する場合には5-FUを短時間(15分)で投与する方法(IFL療法)と、5-FUを短時間で投与した上でさらに46時間持続的に投与する方法(FOLFIRI療法)の2種類あります。以前はIFL療法も多く用いられていましたが、副作用並びに効果の面でFOLFIRI療法のほうが優れていることがわかったため、現在ではFOLFIRI療法が多く用いられるようになってきています。

副作用としては、食欲の低下、全身倦怠感、下痢、白血球が減ったりすること、脱毛などがあります。また投与中の発汗や腸管運動の亢進などもよくみられますが、アトロピンなどの抗コリン薬を用いるとコントロールできることが多いです。食欲の低下に対しては、ステロイド剤や制吐剤を用いますが、コントロールが難しい場合もあります。そのような場合には、担当医に相談しましょう。

オキサリプラチン

オキサリプラチンは日本で合成されましたが、主にフランスやアメリカなどで臨床開発が行われ、世界的には大腸がんに対する主な抗がん剤のひとつとなりました。単独ではあまり効果を発揮しませんが、5-FU/ロイコボリンとの併用(FOLFOX療法)では、FOLFIRI療法とほぼ同等の治療成績を示しており、この2つの療法が現在の大腸がん化学療法の柱となっています。

副作用としてはイリノテカンと比較して食欲の低下は軽く、脱毛もあまり認めませんが、投与された患者さんの80~90%に感覚性の末梢神経障害をきたすのが特徴です。この末梢神経障害は、寒冷刺激により誘発され、冷たいものを触ったり、冷たい飲み物を飲んだりすることで、手先にびりっとする感覚や、のどの違和感が出現します。

治療開始当初は2~3日で消失しますが、治療を継続するにしたがって、回復が遅れ、治療後4~5ヶ月で、10%の患者さんに機能障害(箸が持ちにくくなるなど)をきたすといわれています。このような場合には、オキサリプラチンの投与量を減らしたり、あるいは治療をお休みするなどして副作用の回復を待ちます。これら以外にも白血球が減ったり、血小板が減ったりすることが比較的よくみられます。

外来抗がん剤治療

がん治療で、手術や放射線治療と並ぶ柱が、がん細胞を薬でたたく抗がん剤治療です。胃がんや大腸がん、肺がん、乳がんなどが進行して手術できない場合、抗がん剤で完治させることはできないとされるものの、進行を遅らせたり、症状を和らげたりする目的で治療します。手術後に再発を防ぐため抗がん剤を使う場合もある。厚生労働省は85種類の抗がん剤を承認しています。

抗がん剤の改良や副作用を抑える薬の開発などで、抗がん剤治療は以前より安全に外来で行えるようになってきたようです。地域のがん医療の中核となる「がん診療連携拠点病院」を中心に普及が進んでいます。 抗がん剤治療で避けて通れないのが、副作用の問題です。副作用の多くは、吐き気、だるさなどですが、不整脈や肝機能の低下など、命にかかわる場合もあります

外来治療を始める前に、まず患者さんの全身の状態を詳しく検査し、使う抗がん剤の量や期間などの治療方針を慎重に決めます。

次に、原則として2週間程度入院して、抗がん剤を投与し効果の有無や重い副作用が出ないかを十分にチェックします。看護師や薬剤師が、副作用や日常生活の注意点などをよく説明し、患者さんの抗がん剤治療への理解を高めます。

治療が有効なら、退院後は1~3週間ごとに通院し、外来治療が始まります。当日は主治医のもとで血液検査や問診を受け、体調を確認した後、外来治療室で、抗がん剤や副作用を抑える薬の入った点滴を受ける。 理解ある医師は「患者さんが抗がん剤治療や副作用を十分理解していることが大原則。条件さえ満たせば、大半の抗がん剤治療は通院で行える」と強調しています。

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