白血病の主な治療法
白血病は血液の病気であり、私たちの身体の中で血液は血管を通り身体中に行き渡っているため白血病細胞も身体中に散らばっています。そのため、手術で悪い部分だけを切って治すという訳にはいきません。
こういった白血病の主な治療としては化学療法、放射線療法、そして移植があります。 これらの治療方法のうち、通常は化学療法を基本に放射線療法や移植療法など、その患者さんの状態にあわせた方法を組み合わせ治療を行っていきます。また、その白血病の種類が急性が慢性かでその治療方法も異なってきます。
白血病の治療法の種類
(1)化学療法
抗がん剤を用いた治療方法を化学療法と呼びます。
抗がん剤を用いた治療では、正常の細胞もその影響を受けるため、副作用として吐き気・下痢・脱毛・肝障害などの副作用が現れる事があり、時には感染症や出血・貧血が出るなどの白血病の症状増悪させるものもあります。そのため、全身状態が悪い場合などには、一度、白血病による感染症の治療などを優先し、全身状態がある程度回復してから化学療法を行います。
白血病の化学療法そのものとしては、一度で白血病細胞が全てなくなくわけではありません。患者さん自身の治癒能力が腫瘍細胞を取り除くレベルまで、腫瘍細胞の数を減らす事を目標に繰り返し治療が行われます。
(2)放射線療法
抗がん剤を使用する化学療法の他で、放射線を使う放射線療法があります。この放射線療法は、通常化学療法と組み合わせて行われます。放射線を当てる事で白血病細胞を死滅させていきます。
(3)移植療法
化学療法や放射線療法を行った後に、他の人から骨髄・末梢血造血幹細胞・臍帯血などの血液を持続的に造る能力をもった細胞を植える治療法として移植療法があります。この治療法のことを骨髄移植(造血幹細胞移植)と呼ばれます。 造血幹細胞移植は、抗がん剤の効かない難治の症例や再発によるものにも、ある程度効果が期待できる治療法です。
まず骨髄移植の条件として、白血球の型(HLA)が患者さんと移植細胞を提供するドナーと呼ばれる人の間で一致している事が必要です。
前処置として患者さんは、抗がん剤の治療で白血病細胞を減らす処置を受けた後に、免疫抑制剤を使用し、ドナーからの骨髄を身体に受け入れやすくします。その後、提供された骨髄・末梢血・臍帯血などを輸血と同じようにして点滴で移植します。
骨髄移植においては、ドナーの細胞は正常なわけですからその提供された細胞の免疫能力が、患者さんの白血病細胞を殺す事が期待できます。しかしながら、一方では移植療法にはさまざまなリスクが伴います。その主なリスクとしては以下のようなものがあります。
- 生着不全・・・身体にうまく受け入れられず、造血が再開されない。
- 感染症・・・化学療法などで白血球などを少なくし免疫が働かないことによる、細菌・カビ、ウィルスなどによる感染症の危険性。
- 微小血管血栓症・・・放射線や治療で使用した薬の影響で血管に障害をきたし、血管に血栓が詰まる危険性。このことにより時には意識が障害されたり、腎不全や肝不全を起こしたり、また他の臓器障害をおこす事があります。移植早期に見られる重篤な合併症の1つとして知られています。
- 移植片対宿主病(GVHD)・・・ドナーからの骨髄などに含まれているリンパ球が患者さんと完全な組織適合性が無いために引き起こされる障害で、急性型では皮膚・腸・肝臓に、また慢性型では、皮膚・肺・肝臓などに自己免疫疾患とよく似た障害を引き起こします。 この組織適合について、白血球の型(HLA)を一致させた移植であっても、その一致は最も重要とされている6カ所の白血球の型(HLA)を合わせているだけなので、実際問題として一卵性双生児である兄弟からの移植でない限り危険性はあります。その確率としてはHLAの合致した兄弟間の移植では約25%、HLAが合致していない場合は約40%と言われています。
支持療法
これらの治療を進めるうえで、非常に大切になるのが支持療法です。
化学療法や放射線療法などが効果的にまた患者さんへの負担を必要最小限に抑えるために、併せて行っていきます。
支持療法の主なものには、感染予防のための内服薬の投与や、感染症に対する積極的な抗生剤投与、抗がん剤の副作用である貧血、白血球をはじめ赤血球、血小板減少などに対する適切な輸血療法、また嘔気、嘔吐に対しては強力な制吐剤(せいとざい)投与などがあります。また造血を促すホルモン剤を投与する場合もあります。
白血病の治療法の流れ
白血病の治療を受けていく中で、「完全寛解」というのがまずは大きな目標となります。
完全寛解とは白血病細胞が血液や骨髄の中から姿を消した状態となります。 その完全寛解にするための治療が寛解導入療法となります。
まずは、末梢血液中や骨髄中に白血病細胞がいない状態である完全寛解を目的とした強力な治療として「初回寛解導入療法」が行われます。強力な治療な分、副作用や合併症も強く出る可能性があります。この場合、適切な支持療法を行う事により、こうした副作用や合併症の症状を多少軽減するようにします。
「寛解導入療法」により、血液学的に寛解が得られた場合であっても、まだまだ体内に白血病細胞がたくさん残っています。白血病の治療では、「白血病細胞を完全に根絶させること」が大変重要とされています。
寛解導入療法後に残った白血病細胞をさらに減少させるために行われる治療が「寛解後療法」であり、それらは「地固め療法」→「寛解維持療法」→「大量化学療法」もしくは「造血幹細胞移植」と行っていきます。
ミニ移植について
ミニ移植(骨髄非破壊的移植)とは従来ならば負担が多くて高齢者や体力がない患者さんには不適合だったフル移植に対しての治療法の名前で、前処置の元々リスクの高い抗がん剤や放射線の量や頻度を減らしても患者さんの免疫を抑えることができ、すなわち少ない副作用で造血幹細胞を根付かせることが可能になりました。
ミニ移植は同種移植が不可能な高齢者や肝臓・心臓・腎臓等の既往患者さんでも行える可能性のある移植療法です。
白血病治療の入院費について
白血病の治療や入院費は他のがん治療費に比べても高額になる傾向があります。もちろん個人によって治療法が違うので一律には論じることはできませんが、単純に数百万から1000万近くかかる場合もあります。
これは抗がん治療だけの場合や骨髄移植まで入れる場合や個室のベッドでの治療となる場合等条件によってかなり差がでるためです。
基本的に大事なことは一般的には高額負担になるのでまず行動することは患者自身がガン保険等に入っている場合はすぐ手続きに入ることと高額医療費等の手続も各市町村や病院の窓口などと相談して迅速に行動することが大事になってきます。
またサラリーマンの場合はそういった場合の手当てもしてくれる場合もあるのできちんと連絡と話し合いをする段階で確認すると良いでしょう。
国の制度は特に申請主義的な場合があるので徹底した質問と情報収集が大事になってくるので払わなくてもよいものを払ったり還付されるものがされなかったり時期が遅れる場合もあるので落ち着いて経験者や窓口と相談しましょう。