小児白血病とは?
がん患者さん全体のなかで、子どもが占める割合は約1%程度と言われています。
小児白血病は小児がんの中で約40%を占めるています。
また成人の白血病同様、白血病細胞が骨髄性由来かリンパ性由来かにより、「骨髄性白血病」もしくは「リンパ性白血病」に分けられます。 またその中で約70 %リンパ性である「急性リンパ性白血病」、約20%は骨髄性(非リンパ性)である「急性骨髄性骨髄性白血病」になります。
残りわずかなもので「慢性異型性症候群」や「若年性骨髄単球性白血病」などがありますが、慢性白血病というのは子供では滅多に見られません。 主に好発年齢として2~6歳くらいの幼児期に発症が多いことが特徴にあげられます。
主な小児白血病の種類
- 急性リンパ性白血病(ALL)
リンパ球ががん化したもので小児白血病の代表ともいえる疾患です。 子供のリンパ球はまだ未発達で、リンパ球がBリンパ球に十分成熟する前にがん化が始まった場合「B前駆細胞型白血病」となり小児期に最も多いタイプです。それ以外としてTリンパ球まで成熟した後にがん化したものは「T細胞型白血病」、Bリンパ球に成熟した後にがん化したものは「B細胞型白血病」と呼ばれます。 - 急性骨髄性白血病(AML)
これは子供よりも成人に多く見られる白血病です。白血病細胞を染めて電子顕微鏡でその観察をすることでリンパ性とは区別をつけます。成人の白血病同様、白血病細胞の形の特徴から、FAB分類ではM0・M7までの8種類に分類されるんだ。 - 慢性骨髄性白血病(CML)
子供の白血病としてはまれな疾患です。成熟した白血球が急激に増加し、ある程度機能を持った芽球を作り出す事もできるとされています。何年かのうちに「急性白血病」に移行していく事もあります。
小児白血病の症状
初期症状は、やはり風邪など子供によくある病気と殆どかわらず、家族でも見落とす事があります。
主な症状としては、次第に貧血から顔色が悪くなったり、血色がなくなり皮膚が白っぽくなってきます。
また手足にしつこい痛み(骨の痛み)が出てきます。また発熱を繰り返すようになったり、鼻血や青あざの出現といったいわゆる出血傾向がみられたり、リンパ節が大きく腫れて触れるようになってきたり、おなか(肝臓や脾臓)が腫れてきたりします。
小児白血病の診断と治療
成人の白血病と同じく、血液検査と骨髄穿刺による骨髄細胞採取をし、白血病細胞があるかどうかを調べて確定します。
小児では骨が軟らかいため、骨髄穿刺大きな負担になりにくいのですが、検査の際には痛みを伴うため、最近では全身麻酔や鎮静薬を使って検査を行われることが多くなってきています。
治療も成人と同じく、抗がん剤使用する「化学療法」、「放射線療法」、「骨髄移植」の他「支持療法」が主となります。
最近では急性リンパ性白血病の治癒率は、約80%になっています。ただし、その治癒率も同じ治療を行っても治りやすいグループと治りにくいグループがあり、その子供の発症の年齢が1歳未満と10歳以上では1歳・9歳の方が治りやすいとされています。
そのため、その白血病の子供を同じ方法で治療するのではなく、あくまでもその子供にあった治療方法を行う事が大変重要になってきます。
小児白血病の晩期障害
小児白血病においてその治療成績は進歩がみられ、治癒率は高くなってきています。
それに伴い、成長過程にある子供の白血病の治療が終わった後になって出てくる影響について問題になるのが「晩期障害」です。
晩期障害の主なものとしては、成長障害、内分泌障害、中枢神経障害、心機能障害、肝機能障害、免疫機能障害、二次性がんとしての続発性の腫瘍の発生などがあげられます。
これらの障害は必ず出てくるわけではありませんが、治療後も長期にわたって経過を見ながら晩期障害の危険をいち早く察知し、早期に対処できるようにするためにフォローは大変重要となってきます。