脳の悪性リンパ腫
脳の悪性リンパ腫においては少し前までは前リンパ腫の1パーセントも満たないごく稀な病気とされていましたが1980代あたりからエイズ患者や臓器移植による免疫能が低下している患者さんなどからの発症が報告されるようになったということです。
また最近では免疫能の正常の患者さんによる発症も増加傾向にあるとされています。ただこの場合の発症データの場合、米国での報告であり日本国内ではまだこういった報告はされていないということです。
脳のリンパ腫の場合、他の部位とは異なっていて脳の中を流れている血管には脳血管関門と呼ぶ特殊なしくみが備わり、このしくみとして有害物質、薬などを簡単には脳に通さないというしくみになります。また脳を守るというしくみになっています。
しかし逆に脳に癌が出来た場合に癌を攻撃する際において不利になってしまいます。よって有害な抗がん剤が限られ、種類が少なくなるということになります。現段階において中高悪性リンパ腫の治療の際に用いられるチョップ療法のドキソルビシン・シクロフォスファミド、ブレドニゾロン、ビンクリスチンの4種類の抗がん剤を使用することとなりますが脳血管関門を通過できうるのはブレゾニドロンだけに限られてしまうようです。
脳のリンパ腫の場合、症状としてあげられるのが巣症状と呼ぶ脳内部にかたまりができ圧迫されるがゆえに脳の働きが阻害状態になり麻痺、感覚障害などの症状が発症します。また頭痛や痙攣を起こす場合も稀にありますが、痙攣についてはごくわずかな例としての報告になります。症状の進行具合として週単位で急速に進行するとされていますが、この場合ではリンパ腫、種類にもよります。
この傾向として考えられているのがびまん性大細胞B細胞リンパ腫というリンパ腫の種類とされます。脳や脊髄には硬膜と呼ぶ膜につつまれていますがその中で脳脊髄液が流れ、この液を採取することによりリンパ腫細胞がいるか否かの検査により16から40パーセント弱の患者さんにリンパ腫細胞が確認されます。この結果により脳脊髄液内にもリンパ腫細胞が広がっているか否かを意味します。
ただ脳リンパ腫の場合は全身に転移することは稀で再発した場合にも脳か脊髄で再発する場合が多いようです。