すい臓がんとすい臓の基礎知識

近年日本では、急激にすい臓がんで亡くなる方が増えています。

体の不具合を感じ病院で見てもらい、医者に「すい臓がんです。」と宣告されたら、まず根治はできないっといっても大げさではありません。

かつては、胃がんが死亡原因のトップでしたが、やがて肺がんが日本人の死亡原因のトップになりました。理由は、胃がんは検診で早期に発見でき、7割以上の人は手術で治ります。しかし、肺がんは手術可能な人は3割程度で、治らない人のほうが多いからです。しかし、その肺がんよりもはるかに治療が困難なのがすい臓がんです。

これほどの難治がんの現実に対して意外と知られていないのがすい臓がんです。

まず大事なことはすい臓がんとはどんながんなのか、すい臓とはなんなのか?を良く知ることです。

すい臓の位置と形

すい臓は、胃と十二指腸に囲まれ、体の正面から見て胃よりも、奥深く存在して背中側にあります。背骨の前側といっても良いでしょう。

また、みぞおちから左上腹部にかけておたまじゃくしのように連なって位置しています

十二指腸側から膵頭部、体部、尾部に分かれており長さ約10~15cm、厚さ約2~3cm、重量は平均で80g程度になります。

隣接する主な臓器として、頭部では十二指腸、胆管、門脈、下大静脈、体部では脾動静脈、胃、大動脈、尾部では脾臓、腎臓、大腸があります。

すい臓の働き

すい臓がんとは、すい頭部に多く見られ、そのほとんどの場合すい管から発症するがんで、全体の90%以上を占めています。

ほかに、ホルモンを作るランゲルハンス島の細胞から発生する島細胞がんもまれにみられます消化器系がんのなかでも、治りにくいがんの代表です。

なぜ、難治がんなのでしょうか?

その理由は、初期症状はほとんどなく具合が悪くなった時には進行していることが大半だからです。また、転移の可能性が著しく高く、外科手術の適応が難しいことや切除成功しても再発のリスクが高いことも難治の理由です。すい臓の位置も、内臓の奥深くにあり、初期発見の難しさや外科手術の困難さに関与しているといえます。

すい臓がんの生存率

がん死の順位では肺⇒胃⇒大腸⇒肝臓に続いて第5位で、全てのがんの中で最難治のがんの一つ、昔は5年生存率はわずか10%以下と言われたそうです。

近年、外科切除(すい臓がんの切除率は全症例の約45%)できた症例の5年生存率は平均10-20%です。

がんの大きさ別ですと(5年生存率) 2cm以下で41% 2~4cmで14% 4~6cmで20% 6cm以上で11%です。

放射線療法で、2年生存率10%前後、平均生存月数4~12か月程度です。 決して良好とはいえませんが、生活の質の改善には役立つことも多いようです。

抗がん剤による治療生存期間の平均値は約9ヶ月半で 化学療法と放射線療法の併用で1年以上生存する患者さんも時々いるようです。

早期のがんで(大きさが2センチ以下ですい臓のなかにがんが留まって転移していない状態)切除手術を受ければ 6割が助かるというデータもあります。しかし、早期の割合は2%強という極わずかの範囲でしかありません。

(※生存率は、病院や発症・発見の時期などによって変化してきます)

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