肺がんと抗がん剤

肺がんの場合局所的な治療で改善できないほどの、腫瘍の転移が見られる場合化学療法、すなわち抗がん剤を使用します。肺がん患者の6割程度は化学療法を行うようです。

抗がん剤は種類や状況によって静脈注射、点滴静脈注射、まれに内服します。

抗がん剤は一般に、複数の薬を組み合わせて投与します、その理由は、副作用や患者さんの体力によってですが複数の組み合わせによってより抗がん剤の効果をあげることができるからです。

問題はやはり副作用で患者さんが耐えられなくて続けられなかったり医師の判断で中断することもあります。

ただし副作用に対しての薬も最近はたくさんありますので無理せず苦しいことをどんどん担当の医師や家族に意思表示して対応してもらいましょう。

数々のガン患者を完治させてきた食事法

非小細胞肺がんに使う抗がん剤の種類

  • ナベルビン
  • パクリタキセル
  • ドセタキキセル
  • ゲムシタビン
  • 塩酸イリノテカン

単体でも成績は良好な抗がん剤ですがプラチナ制剤と併用することでかなりよい成績が残せているようです。

小細胞肺がんに使う抗がん剤の種類

  • シスプラチンまたはパラプラチンとエトポシドの組み合わせ
  • 塩酸イリノテカンをシスプラチンと併用アムルビシン

抗がん剤投与に伴う副作用を予防する薬剤

制吐剤(5-HT3受容体阻害剤)

5-HT3阻害剤は、シスプラチンによる吐き気を含めて、抗がん剤投与に伴う吐き気を効果的に抑えることができます。

G-CSF制剤

抗がん剤治療の最大の副作用は好中球の減少です G-CSFは、人間の身体の中にあって好中球を作り出す蛋白質を遺伝子工学の技術により体外で作成したものです。 感染の危険がある際にこの薬剤を注射すると、危険な状態を脱することができます。

肺がん薬まとめ

ナベルビン

ビノレルビンは非小細胞肺がんに治療に用いられる抗がん剤で植物から作られ、商品名はナベルビンです。

植物からつくられるというと体にやさしそうですが、植物の毒性を利用して細胞組織のひとつ微小管(細胞の中にチューブのように存在する)を阻害して結果的にがん細胞の増殖を防ぐ。

細胞分裂するにはこの微小管が重なり束になっていく過程が必要でありこれが阻害されることで結果的に細胞としての分裂は不可能となる。

リスクとしてはまず注射痛が起こる場合があり、動かしたときなどにずれたり液が血管の外に漏れると炎症をおこしたりします。

代表的な副作用として吐き気・食欲不振・抵抗力低下による風邪のような症状・各所出血・便秘・アレルギー体質の人は発疹やしびれなどがあらわれます。

予後に影響するような重篤な副作用もまれに起こるが確立は0.1%未満のようです。代表的なのは骨髄の機能低下により感染症などになり死亡する等。

また妊娠奇形や他のお薬と併用すると作用が強くなったり単体での副作用とは違うリスクがあるので注意が必要です。

パクリタキセル

パクリタキセル(商品名タキソール)は、非小細胞肺がんに治療に用いられる抗がん剤で木の皮にある菌が出す物質です。

基本的な抗がん作用としてはナベルビンと同じく微小管分裂を安定させることで重複をさせないで結果的に細胞増殖を起こさせないメカニズムになる。

主な副作用としては骨髄抑制による白血球減少で軽い吐き気から嘔吐脱毛があります。

また末梢神経による手足のしびれ・痛みも多いようです。アレルギー体質の方は重度のショック症状などがあるため注意が必要です

ドセタキセル

ドセタキセルはパクリタキセルから改良されたタキサン系(微小管に作用して細胞分裂を抑える)抗がん剤で効能がパクリタキセルよりすぐれた場合があり副作用が少ない傾向にあるようです。

これはより少ない投与で済むことや溶解性が改良されたことによるようです。しかし個人によってはより白血球減少が高くなったりするので注意が必要です。

ゲムシタビン

ゲムシタビン非小細胞肺がんに治療に用いられる抗がん剤で商品名はジェムザールです。

特徴は代謝拮抗剤と呼ばれるグループ薬の働きで、がん細胞に似た構造で取り込まれ結果的に悪性のDNA合成を阻害または消滅させて進展や痛みを和らげます。

ゲムシタビンは比較的副作用がすくないといわれていますが、吐き気やおう吐・骨髄抑制による血小板減少はあるようです。

そのほかにも風邪の一般的症状のようなだるさ・頭痛・発熱・めまいなど起こりやすいようです。 注意すべきは痛風や腎臓の疾病・肝臓・心臓の疾病のある人はもともとの病気が悪化するおそれがあるので主治医とよく相談しなければなりません。
シスプラチン

シスプラチンは小細胞非小細胞肺がんともに用いられますが、多くは併用されることがほとんどです。

白金錯体と分類されるこの薬剤は偶然大腸菌に抑制作用があることから研究され、途中腎臓への副作用の強さなど指摘され断念した時期もありましたが利尿剤などの併用によって抗がん剤として完成しました。

いわゆるプラチナの合成物ががん細胞のDNAに働きかけ増殖を抑え死滅させます。

副作用は開発段階でも指摘されていた腎障害です。強制的に利尿することで腎機能障害をさけることができるが尿量等は常に注視する必要がある。そのほかにも悪心・嘔吐・聴力低下や耳鳴りなどがある。

パラプラチン

カルボプラチンはシスプラチンの抗がん効果を保持しつつ副作用を軽減するために開発された小細胞肺がん薬剤です。

シスプラチンと同じくがんDNAの増殖を抑え死滅させます。副作用は腎機能障害・吐き気等シスプラチンと同様ですが程度は軽く強制的な利尿も人によってはやらない場合もあるほどです。ただもともと腎臓の既往がある場合は注意が必要です。