腎臓がんの治療

<腎臓がんの切除術について>

腎臓がんの治療については、主に行われるものは外科的な療法で腎臓を摘出する手術が一般的です。 腎臓がんの進行の具合によっても異なりますが、全摘出か部分切除を選択されます。ただし、部分切除は手術後に様々な機能障害が起こることがあるため最近では行われていないのが現状です。

また進行具合により、腎臓がんで腎臓を摘出した場合でも、片方の残った部分の腎臓が正常な場合には、一つでも二つ分の働きができるよう大きくなります。

腎臓がんは現在のところ手術以外に効果的な治療法がないといわれているので、基本的に原発巣や転移した部分に対しできる限りの切除手術が行われます。

→詳しくは「腎臓がんの手術」参照

<腎臓がんのその他の治療について>

他の臓器での癌では、抗がん剤による化学療法や放射線療法が有効な場合があります。 腎臓がんに対しては特殊な場合を除いてあまり適しておらず、有効ではありません。

そのため、腎臓がんの患者さんに体力的な問題があり、腎臓がんの摘出手術が困難な場合にのみ放射線治療などが行われる事があります。

腎臓がんに抗がん剤が有効でない理由の一つとして、腎臓がんの増殖スピードが遅い事があげられます。

抗がん剤は増殖スピードの速いがんに対して効果を発揮するものだからです。また腎臓の機能として、「体内の老廃物を排泄する」という臓器なので、抗がん剤も排泄されている可能性があり、効果が悪い事も考えられます。

これらの腎臓がんのその特質から言っても、抗がん剤による治療に効果にそれほど期待ができないと言えるのです。

加えて、腎臓の中に「多剤耐性遺伝子MDR」というものがある事が明らかになっています。この「多剤耐性遺伝子」には細胞の中に取り込まれた薬剤を細胞の外に吐き出してしまうという働きがあります。

そのため、腎臓がんでは薬が効果を発揮できないような性質がもともと備わっているという事になります。

しかしながら、転移した箇所への放射線治療は骨などには有効で、また肺などに転移がみられた場合は、免疫療法として「 インターフェロン」という薬を使い、その状況にあった方法を選択し治療を行っていくことになります。

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腎臓がん治療の種類

(1)手術療法

切除の方法また切除する範囲により、手術の方法が分けられます。

-切除方法による分類ー

  • 開放手術お腹やわき腹を大きく切って切除する
  • 腹腔鏡手術・・・体の中に内視鏡を入れて内視鏡の画像を助けにして切除する
  • 内視鏡下小切開(ミニマム創)手術・・・内視鏡と肉眼の両方で手術部位を見ながら切除

-切除範囲による分類ー

  • 腎全摘除術・・・腎臓がんがある腎臓全体を周囲の「脂肪組織」と「脂肪組織内にある副腎」を一緒に切除する方法。
  • 腎部分切除術・・・腎臓がんと、またその周囲の部分だけを切除する方法。

→詳しくは「腎臓がんの手術」参照

(2)免疫療法

「インターフェロン」または「インターロイキン」と呼ばれる薬剤を使用して、患者さん自身の身体の免疫機能を高め、治療する方法です。しかし、この免疫療法の副作用としては、発熱、全身倦怠感、食欲不振、気分の抑うつなどがあります。

(3)分子標的治療

「分子標的薬」といわれるものを使用し行われる新しい治療法です。

従来の抗がん剤と異なり「分子標的薬」では、がんの成長に必要な栄養分を送っている血管の増殖を抑制する事により効果を発揮し治療する薬です。腎臓がんで使用される分子標的薬として主なものに、「ソラフェニブ」や「スニチニブ」といった内服薬があげられます。

最近は腎臓を温存する方向性を目指す

腎臓はふたつあるのでひとつに局部がんである場合従来は予後のため腎臓はもちろんのこと 副腎や周辺組織も一緒に切除していました。

ですが近年はなるべく腎臓を残し機能をなくさない方向性を目指す傾向があります。これは技術の高まりもありますが 腎臓の機能が低下するともうひとつの腎臓に負担がかかるのもそうですが長い人生のなかでじん不全や結石のリスクにそなえ なるべく腎臓の機能を温存するのが目的です。

やはりがんのリスクも怖いですが人間にとって腎臓の機能は不可欠ですしその能力も低下すると様々な不都合が容易に起きます。

なるべくがんのリスクと考えつつも温存の方向を目指すのが良いでしょう。

ただし最大のリスクは再発です。それを回避するのは切除の段階でのがんの大きさがポイントになります。

おおよその目安としていわゆる一期の段階でがんが4センチ以下の場合がん細胞だけにフォーカスして切除を行い、腎臓を温存 する方向性を選択します。このレベルの温存の場合ほぼ再発の可能性はゼロと言えるそうです。

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