腎臓がんの転移について
腎臓は血管の非常に多い臓器です。血液を濾過するため、この握りこぶしより少し大きいくらいの腎臓に送り込まれる血液は、全身の約4分の1もの血液になります。
そのため、腎臓がんの転移はがん細胞が血流に乗って全身に運ばれやすくなり、肺転移、肝転移、骨転移などといった血行性転移の多いのが特徴となります。また比較的リンパ節にも転移しやすいとされています。
加えて腎臓がんは血管内に進展するという性質があるため、時には大きな静脈である下大静脈や心臓にまで達する事もあります。
こうした転移しやすいという特徴から、転移のチェックとして腎臓以外の場所の検査も重要となってきます。
例えば、肺への転移に対してX線、CT検査が行なわれ、また、骨への転移に対しては、骨と反応する放射性医薬品を体内に注入して撮影する「骨シンチグラフィー」という検査で診断します。
この他にも、カテーテルと呼ばれる細い管を血管内に通して、造影剤を使って撮影する血管造影検査が行われる場合もあります。
→詳しくは「腎臓がんの検査」参照
一般的にがんは、治療後5年を過ぎると、再発の危険性が少なくなるため、この時点で治癒と判定されます。しかし、腎臓がんについては、その進展速度が遅いという特徴から、腎臓がんの治療後、早い時期に転移がんが見つかるとは限りません。
がんを手術で完全に切除したと思っていても、10年後に再発が見られる場合もあります。手術などによる治療が一旦落ち着いたように見えても、その後の転移や再発の可能性もありますので、医師とよく話し合いながら経過観察をしていくようにしましょう。